さ く ら                           NO4      

            さくら  T

         小さな小さな蕾が ほんのり桜いろ
         蕾が笑みを浮かべ すこし開きかけた
         春の感触探すように

         温かな日から一転寒のもどり
         冷たい風に吹かれながら
         くもり空へ
         精一杯咲かせた花びら

         心まで
         冷え切ってしまいそうな
         そんな寒い午後
            さくら U

        春爛漫
          
さくら  さくら  桜
        ピンクの花の下に そっと身を置く
        心が春色に包まれ
        時が静かに過ぎゆく

        いたずら春風さんからの便りのように
        一片の桜の花びらが 
        手のひらに舞い落ちてきた
        こわさぬように そっと包みこむ

  
             さくら  V

          穏やかな春の日
          はらはらと舞い落ちる花びら
          ふわふわと
          風にのって どこまでいくの

          朽ちたベンチに
          寄り添うように 桜の花 ふたつ みつ
            さくら  W

          花吹雪 見とれていましょうか

          広げたお弁当に
          ひとひら ふたひら
          花びらが落ちる

          地を覆うように敷き詰められた
          桜の花びらを踏みながら
          時折
          肩に舞い降りる
          花びらを楽しむ
           さくら  X

          春の陽の下で
          花びらを肩に受け歩く
          笑顔が溢れる頬は
          春色に染まる

          楽しい話に花が咲き
          その花びらが風に乗って
          ひらひら ふわふわ
          あなたの心に花吹雪
            さくら  Y

         あゝ 少しおそかったね

         穏やかな空に向かって伸びた枝々には
         散り遅れの花たちが 寂しげに揺れている
         花を失った枝先は
         早くも ささやかな緑の気配

         この木が
         鮮やかな新緑に生まれ変わる日も
         遠くはないだろう
                         さくら  さくら   春爛漫